河出書房新社は、J・D・サリンジャーの初期作品全21篇を発表順に収録した『サリンジャー初期短篇全集』(柴田元幸訳)を刊行した。

第二次世界大戦へ従軍し帰還
J・D・サリンジャー(Jerome David Salinger)は、1919年アメリカ・ニューヨーク市生まれ、2010年没。1940年に短篇「いまどきの若者」でデビューする。
1942年に陸軍に入隊し、1944年イギリスに派遣され、ノルマンディー上陸作戦に参加。1945年にはダッハウ強制収容所の外部収容所であるカウフェリンクIV強制収容所解放の任に従事した。
1951年に刊行した長篇『キャッチャー・イン・ザ・ライ』(日本語訳版書名『ライ麦畑でつかまえて』)が全世界でベストセラーとなる。1953年に『ナイン・ストーリーズ』を刊行した後は、ニューハンプシャー州で隠遁生活をおくる。
1961年に『フラニーとズーイ』、1963年に『大工よ、屋根の梁を高く上げよ/シーモア―序章―』を刊行。1965年に短篇「ハプワース16、1924年」を発表したが、以後は沈黙を貫いた。
全初期短篇を発表順に収録した作品集
『サリンジャー初期短篇全集』は、『ナイン・ストーリーズ』、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』以前、1940年から1948年にかけて各誌で発表した全21篇を収録した。
サリンジャー作品特有のペーソスとユーモアが、随所に刻みこまれている。『キャッチャー・イン・ザ・ライ』や『ナイン・ストーリーズ』でおなじみの登場人物たちが物語に登場するなど、後の作品にまで通底したエッセンスやモチーフが詰まっている。
入手困難になっていた作品も収録
サリンジャーの創作の出発点となった初期短篇群は、生前に書籍化を拒んでいたことで、長らく封印された作品群として知られている。
散逸していた初期作品群が、日本ではじめて一冊にまとめられた。入手困難となっていた作品も収録され、サリンジャー文学の全体像を理解し、魅力の奥深さに触れられる貴重な作品集になっている。
翻訳は、アメリカ文学者・翻訳家、柴田元幸による清新な新訳。巻末には、各作品の成立や背景を読み解く、訳者による作品解説を収録した。
四六判/上製/508ページ。価格は、2,970円(税込み)。

