河出書房新社は、2025年4月に刊行した『聊斎本紀』著:閻連科(えん れんか)/訳:谷川毅(たにかわ つよし)が、「第十二回日本翻訳大賞」(主催:日本翻訳大賞 実行委員会)の大賞を受賞したことを発表した。
反響を受けて、6月8日に重版出来。受賞を記念して、初版限定特典の著者エッセイ「情趣と妄想と芥川龍之介──日本の読者の皆様へ」を、Web河出にて1か月の期間限定で公開中である。

中国文学の怪物作家
閻連科は、1958年中国河南省生まれ。貧しい農村で育ち、高校を中退して就労する。20歳で人民解放軍に入隊し、創作学習班に参加。1980年代から小説を発表する。中国で「狂想現実主義」と称される長篇『愉楽』が2003年に老舎文学賞を受賞した。
軍人の赤裸々な欲望を描いた『夏日落』(1992年)、『人民に奉仕する』(2005年)は、発禁処分となる。「エイズ村」を扱った『丁庄の夢』(2006年)は一時販売中止処分に。大飢饉の内幕を暴露した『四書』は出版できず、2011年に台湾から出版された。
中国社会の不条理を鋭く描き続け、世界での評価を確立している。2014年には、フランツ・カフカ賞を受賞。近年は、ノーベル文学賞の候補として名前が挙がっている。
閻連科作品の翻訳を手掛ける
谷川 毅は、1959年生まれ。名古屋経済大学名誉教授。長年にわたり、閻連科の作品を日本に紹介してきた。精緻な訳文により、同作の濃密な世界観を鮮やかに伝えている。
訳書には、閻連科『愉楽』『黒い豚の毛、白い豚の毛』『丁庄の夢』『硬きこと水のごとし』『年月日』『人民に奉仕する』『太陽が死んだ日』など。
最大の怪奇譚集を大胆に再構築
『聊斎本紀』は、中国古典として名高い怪異短篇集『聊斎志異』を大胆に再創作した長篇小説である。幻想文学と怪異譚の魅力を現代的想像力によってよみがえらせた。
絵画の中で生を得る絵師、人間の心臓を食べて転生する妖女、狐と人間の交歓など、世にも不思議な36の物語となっている。
四六変型判/並製/456ページ、価格は、5,280円(税込み)。電子書籍も6月中に発売予定である。

