落合陽一による初の小説『すべては計算でできている』が9月18日、クロスメディア・パブリッシングより刊行された。
メディアアーティストとして、また、筑波大学教授など研究者としても知られる落合陽一。計算機と自然が溶け合う世界像「計算機自然(デジタルネイチャー)」を軸に、ヒューマンコンピュータインタラクションや波動制御の研究と、メディアアートによる表現を横断する活動が注目されている。

人生で書いた約3.5億文字から独自AIを開発
落合は執筆にあたり、独自のLLM(大規模言語モデル)の開発から着手したという。
学習に用いたのは、実家に残されていた壊れたコンピューターなどから取り出したものを含め、ミクシィへの書き込みや20年分のメール、LINEのやりとりなど、自身がこれまでに書いたすべての文字にあたる約3.5億文字のテキストデータである。
LLMは27ものバージョンを重ねるなど、開発は試行錯誤の連続だったという。落合はこの工程を「服をつくるのに、ミシンを発明するところから始めたようだ」と表現している。表紙の装画も、小説のテキストをもとに落合がAIとともに制作したものだ。
青年とAIの対話で描く「デジタルネイチャー」
初となる小説では、落合が提唱する「デジタルネイチャー(計算機自然)」の思想を、ひとりの青年とAIの対話を通じて描いている。
デジタルネイチャーとは、計算機の処理能力が人間の知能を超え、計算機がつくりだす自然と元来の自然との違いが曖昧になっていく未来像を指す。
主人公は29歳のシステムエンジニア・三輪慎一。ある日、「禰宜(ねぎ)」と名乗るAIに悩みを打ち明けた慎一は、禰宜から投げかけられる予想外の問いを通じて、悩みの根底にある自身の価値観に気づいていく。
AIと人間の境界を問う物語
生成AIの登場以降、「AIに代替されない仕事は何か」といった、AIと人間を対比する議論が続いている。同書は、AIと人間、計算機と自然の境界が揺らぐ世界で「人間として生きる」とは何かを問いかける。
定価は2,145円(税込)、四六判404ページ。Amazonで2027年1月26日までに購入した読者には、落合の特別インタビュー動画が特典として配信される。

