河出書房新社は、桜庭一樹と斜線堂有紀による競作小説集『そうだ、君を憎めばいいんだ 愛と殺意と七つの条件』を5月20日に刊行した。

二世代の「少女たちのカリスマ」が共鳴する
70年代生まれの桜庭一樹は、少女の痛みと愛への渇望を描き続けてきた作家だ。直木賞受賞作『私の男』や『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』など、その作品群は世代を超えた読者に刻まれている。
一方、90年代生まれの斜線堂有紀は、「私は桜庭一樹の小説で育った」と公言する作家である。『回樹』などで独自の文学的想像力を示し、近年さらに注目を集めている。
この二人が、2020年代の東京を舞台に、共通の「七つの条件」にもとづき、それぞれの短篇を競作した。収録作は、各2篇×4回の計8篇。少女たちの愛と殺意が交錯するクライムサスペンス作品集である。
同じ条件から、異なる物語が生まれる
同作の特徴は、著者二人が設定した同じ条件から、それぞれ別の短篇を生み出している点にある。
「桜庭先生が考える“愛の定義”、知りたい……です」(斜線堂有紀)
「燃えるならいっそ燃えてくれ、みたいなこと、ありますよね」(桜庭一樹)
(プレスリリースより)
このような会話が飛び交ったすえに二人が定めた「七つの条件」とはいかなるものか。同書はその謎を最後まで明かさない。
読者は各短篇を読み進めながら条件を推理し、ページをめくるたびに認識が更新される構造になっている。
同じ条件から、まったく異なる物語が立ち上がるという読書体験は、言葉と想像力が織りなす物語世界の奥深さをあらためて気づかせてくれる。
それぞれの短篇を独立して楽しむだけでなく、二人の解釈の違いを読み比べたり、共通する条件を推理しながら読み進めたりと、複数の楽しみ方を可能にしている。
46判・292ページ、税込1,980円。電子書籍版も同時発売されている。


