河出書房新社は、八木詠美(やぎ えみ)の3作目となる小説『アンチ・グッドモーニング』を6月29日に刊行する。同作品は、第175回芥川賞の候補作に選出された。
第175回芥川賞・直木賞選考会は、2026年7月15日に行われ、各受賞作が決定する。

デビュー作が26の国と地域で翻訳
八木詠美は、1988年、長野県生まれの小説家。早稲田大学文化構想学部卒業。2020年に『空芯手帳』で第36回太宰治賞を受賞し、デビューした。
『空芯手帳』は、偽装妊娠という静かな嘘を題材にした作品であり、26の国と地域で翻訳されている。『空芯手帳』の英訳版『Diary of a Void』は、ニューヨーク・タイムズやニューヨーカーが書評を載せており、ニューヨーク公共図書館が今年の収穫として取り上げるなど評価も高い。
2024年には、『休館日の彼女たち』で第12回河合隼雄物語賞を受賞した。閉ざされた美術館を舞台として、心の避難所を描いた。エッセイや書評も執筆し、2026年2月には、エッセイ集『喋る猫はいなくても』を刊行している。
現代を生きる会社員の「苦悩あるある」
『アンチ・グッドモーニング』は、8か月ほど不眠に悩まされている女性会社員・野上が主人公。「眠れるなら死んでもいい」という言葉が飛び出すほど、苦悩していく。
野上の勤める会社は、健康志向で、社員の「ウェルビーイング」を追求するため社内ルールが徹底されている。野上は、仕事のチャット通知に追い立てられ、自分を失ってしまう。
“不眠”から脱出できるのか
野上の優しい夫は、「一緒に不眠を治していこう」と、丁寧な食事を押し付けてきたり、癒やしのニワトリを借りてきたり。しかし、不眠は改善しない。
「魂を少しいただければ、あなたを眠れるようにして差し上げましょう」と怪しげなeラーニング講師も登場。野上は、安眠のために奔走するうち、いつしか不思議な世界に迷い込んでいく。
四六判/上製/184ページ、価格は、1,870円(税込み)。電子書籍も近日中に発売予定。


