新潮社は6月22日、高村光太郎の詩集『智恵子抄』(新潮文庫)が、minä perhonenデザイナー・皆川明による新装版カバーで登場したと発表した。
2026年「新潮文庫の100冊」にラインナップされ、全国書店で展開されている。
没後70年、世代を超えて受け継がれる装い
2026年は高村光太郎の没後70年にあたる。長年カバーに用いられてきた、高村智恵子による花柄の切り絵から、皆川が手がけた花と鳥の切り絵へと装いを改めた。
智恵子の紙絵を敬愛し、同詩集を長年愛読してきた皆川の視点が、古典の表情に新たな息吹を吹き込んでいる。

愛の高揚と喪失をたどる詩集
『智恵子抄』は、詩人であり彫刻家でもあった高村光太郎が、妻・智恵子への思いを謳った詩集である。
明治末年、アトリエを訪れた智恵子を「人類の泉」と讃えた恋愛時代から、共に創作活動に励んだ結婚生活、智恵子の発病、そして昭和十三年の永遠の別れまでが描かれる。
妻である智恵子自身も洋画家であり、闘病中には千代紙を用いた紙絵を数多く残した。
「東京に空が無い」と語る智恵子の郷愁を描く「あどけない話」、死を目前にした智恵子と、見送る光太郎の時間が交錯する「レモン哀歌」など、平易な言葉遣いでありながら力強い表現が、時代を超えて人々の胸を打つ。
著者の高村光太郎(1883-1956)は、上野公園の西郷隆盛像で知られる木彫家・光雲の長男として東京に生まれた。欧米留学を経て美術評論や詩で注目を集め、1941年に同詩集を刊行した。
智恵子の紙絵から皆川の切り絵へと視線をつなぐ新装版の発売が、新たな読者との出会いを生むきっかけとなりそうだ。


