株式会社小学館は、辻村深月の新作長編小説『ファイア・ドーム』上巻・下巻を6月5日に刊行する。
同作は、辻村氏のデビュー22周年記念作品であり、前作『この夏の星を見る』から3年ぶりとなる最新長編だ。
執筆開始から7年、原稿枚数は1,500枚に達する。文芸誌「STORY BOX」で連載された作品をもとに、大幅な加筆と全面改稿を経て完成した。

「噂」という炎が焼いていくもの
舞台は山間の地方都市。25年前、百貨店受付嬢の誘拐殺人事件が起きた町は、報道とともに大量の「噂」という炎に包まれた。
ようやく静けさを取り戻したかに見えるその町で、くすぶり続けた因縁が、いま新たな事件を呼び起こす。
著者は「大きな事件は人を魅了してしまう」と語る。
「地元だから知っているんだけど実は…」「友達の友達が関係者で聞いたんだけど」「あの被害者って本当は…」。
そうした言葉が連鎖し、当事者たちの人生は、事実ではなく、他人が作り上げた物語によって焼かれていく。
タイトルの『ファイア・ドーム』には、一見穏やかな町の奥で、過去の事件にまつわる噂が燻り続けているという意味が込められている。閉じられた世界の中で噂は消えず、時間を越えて新たな事件を呼び起こす。
なぜ人は事件に関わりたがるのか。その問いを胸に掲げ、著者は7年の歳月をかけて同書を書き上げた。
同作の刊行に先立ち、5月1日からは冒頭30ページに及ぶ試し読みを、各電子書籍ストアで配信中だ。読者は発売前に、物語のはじまりにいち早く触れることができる。

