株式会社実業之日本社は5月11日、原田マハの短編小説集『星がひとつほしいとの祈り』(実業之日本社文庫)が22万部を突破したと発表した。

13年の歳月を経て再注目
同書は、2013年に刊行された短編小説集。2026年3月に作家デビュー20周年を迎えたことを記念し、ゴッホの絵画「星降る夜、アルル」を用いた特製カバー版が製作された。
同版は1か月で3回の重版がかかるなど、刊行から13年を経て、あらためて注目を集めている。
元美術館キュレーターとしての経歴を活かした「アート小説」で知られる著者だが、『星がひとつほしいとの祈り』には、旅先での出会いを通して、今を生きる女性たちの希望と祈りを見つめた7つの物語が収録されている。
表題作では、コピーライターの文香が道後温泉で出会った盲目の老女から戦時中の悲恋を聞く。
「斉唱」では、未婚の母の梓が、心を開かない娘とともに佐渡でトキを見る旅に出る。
著者は作家になって間もない頃、「旅先で心に残ったものをスケッチのように自分の中に残し、いつか物語にしようと思っていた」と振り返っている。
また、
人生には偶発的に起きること、出会うものがあるので、ただ生きているだけで必ず学びや気づきが潜んでいる
(プレスリリースより)
とも述べ、自身の短篇集が「見つけること、気づくこと、とらえること」の手掛かりになればという思いを明かしている。
ゴッホに重ねた、星を探す眼差し
特製カバーにゴッホの絵画を採用したのは、著者にとってゴッホは、「生涯をかけて星を探し続けた」特別な画家だからだ。
読者にも自分だけの星を見つけてほしいという思いが込められた同作は、著者の創作の原点を感じさせる一冊となっている。
文庫判、891円(税込)。

