株式会社新潮社は、山口恵以子が7年越しで書き下ろした小説『手配する女』を3月25日に刊行した。

「食堂のおばちゃん」から松本清張賞作家へ
山口恵以子は、1958年、東京生まれの小説家。会社勤めをしながらドラマ脚本のプロット作成を手掛ける。50歳の時(2007年)に『邪剣始末』で作家デビュー。
2013年には、『月下上海』で松本清張賞を受賞した。丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤めながら執筆したことから「食堂のおばちゃんが受賞」と話題となった。主な作品として、「食堂のおばちゃん」「婚活食堂」「ゆうれい居酒屋」のシリーズがある。
これは私にしか書けない、私が書くべき物語
2017年に地面師グループに積水ハウスが土地の購入代金として55億5,000万円を騙し取られた詐欺事件が報道された。土地の持ち主になりすます人物を用意した手配師・秋葉紘子の表向きの顔は清掃員だったという事実に、食堂に勤務していた山口は、心を揺さぶられる。
始発電車で出勤して働く、社会を下から支える人間にしか見えない景色がある。自分と同じように秋葉紘子も「掃除のおばちゃん」として、その景色を見ていたに違いない。そして『手配する女』のヒロイン・三矢唯が誕生する。
普通のOLから裏社会の「手配師」へ
三矢唯は、寿退社を夢見る普通のOL。騙されて全てを失った彼女は、奇縁あって騙す側に、地面師詐欺の“なりすまし役”を調達する「手配師」へと転じる。表の顔は「掃除のおばちゃん」でありながら、裏の顔は地面師詐欺の「手配師」となる。
唯は、窮地に陥った人々に大金をもたらす仕事を「人助け」と思い、半生を投じてきた。数奇な運命と人間観察力を武器として、昭和から令和までの半世紀にわたり裏社会で腕を振るった唯の人生、70代で迎えた最後にして最大の仕事を描く。
四六判ソフトカバー/256ページ、2,200円(税込み)。電子書籍も同時発売。

