株式会社幻冬舎は11月4日、伊坂幸太郎の人気作『マイクロスパイ・アンサンブル』(幻冬舎文庫)の書店限定カバー版を発表した。
対象となるのは全国の紀伊國屋書店グループ、TSUTAYA(一部店舗を除く)、くまざわ書店、未来屋書店の4チェーン。いずれも数量限定・期間限定で11月上旬から順次展開している。

“優しさの連鎖”を描く、現代の寓話
本作は、社会の片隅に生きる人々の視点を通して、見えないつながりの奇跡を描いた連作短編である。
失恋した社会人一年生、居場所のない少年、いつも謝ってばかりの上司。彼らの日常が偶然に交わり、思いがけないかたちで互いを救い合う、優しさと驚きに満ちた現代版のおとぎ話。
残業中のオフィスやフェス会場、事故現場といった何気ない舞台で、伊坂特有の軽妙な文体が“誰かを助け、誰かに助けられる”というささやかな奇跡をすくい上げる。
『マイクロスパイ・アンサンブル』は、2015年から2022年にかけて福島・猪苗代湖で行われたイベント〈オハラ☆ブレイク〉のために、毎年書き下ろされた物語をまとめた作品である。イベント会場で限定配布されていた短編に、新たに「猪苗代湖でまた会う話」を加え、2025年8月に文庫化された。
各書店限定の特装カバー&特典カード
今回の限定版では、書店ごとに異なるデザインのカバーを採用。さらに人気イラストレーター・みつきさなぎによる特典カードが封入される。
新刊時に封入されたカード【1】に続き、今回は【2】~【5】のデザインが追加され、コレクションとしても楽しめる仕掛けだ。
伊坂幸太郎は、2000年のデビュー作『オーデュボンの祈り』以来、『アイネクライネナハトムジーク』『ペッパーズ・ゴースト』など、巧みな構成とユーモアで読者を惹きつけてきた作家である。
軽やかでありながら、時代の不安に静かに寄り添う伊坂幸太郎節が凝縮された一冊『マイクロスパイ・アンサンブル』。定価792円。

