河出書房新社は小川洋子のエッセイ集『続 遠慮深いうたた寝』(税込1,793円)を10月16日に発売した。
2020年には日本人で二人目となるイギリス・ブッカー国際賞にノミネートされるなど、国際的にも評価が高い小川洋子。
1988年のデビュー以来、『博士の愛した数式』『ミーナの行進』『ことり』など、数々の名作で読者の心を静かに揺らし続けてきた。受賞歴も華やかで、芥川賞、読売文学賞、本屋大賞、谷崎潤一郎賞、野間文芸賞などを次々と受賞。
作品はこれまでに世界各国で翻訳刊行され、繊細で普遍的なテーマが国境を越えて読者に愛されている。

創作の裏側や日常風景が垣間見える待望のエッセイ集
「遠慮深いうたた寝」は、神戸新聞での連載エッセイのタイトルである。
書籍化第二弾となる『続 遠慮深いうたた寝』では、同連載に加え、他の新聞・雑誌に掲載された最新エッセイも収録。懐かしい思い出や創作をめぐる想い、心に残る本と読書、ミュージカルや野球への愛情など、日常を掬い取る温かな筆致が光る。
刊行を記念して、収録作「無限の自由」一篇全文が特別公開された。同篇では、自作『小箱』に登場する“新月”の描写をめぐり、読者の指摘から新たな発想へと導かれる創作の瞬間が語られる。誤りを恥じるのではなく、読者との対話を通じて想像の翼を広げるその姿勢に、作家としての誠実さと自由な精神がにじむ。
装丁は前作に続き、名久井直子が担当。九谷焼作家・上出惠悟による陶板画を用いた造本が話題を呼んだ第一弾は、第55回造本装幀コンクールで日本 書籍出版協会理事長賞を受賞している。今回も同タッグによる美しいブックデザインが実現した。
小説のように深く、日記のように親密。『続 遠慮深いうたた寝』は、読むほどに小川洋子という作家の静かな情熱が伝わる一冊だ。

