ゴッホに導かれ小説家へ 原田マハ『晴れの日の木馬たち』12月17日刊行

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新潮社は2025年12月17日、原田マハの新作長篇『晴れの日の木馬たち』を刊行する。

さまざまな奇跡的な出会いに導かれ、小説家になる少女・すてらを描く物語。アート小説の第一人者である原田が、「小説」と「アート」に寄せる深い敬愛を全身でそそぎ込んだ意欲作である。

運命を変えたゴッホとの出会い

物語の中心に立つのは、倉敷紡績で働く少女・すてらだ。

病に伏した父を支えるために働くすてらは、社長である大原孫三郎の知遇を得て、運命の一冊となる雑誌『白樺』を手にする。そこで彼女の魂を揺さぶったのは、ゴッホの絵画と、武者小路実篤による批評の言葉だった。

「ゴッホが絵を描いたように、自分は小説を書く」。絵筆ではなくペンを執り、色彩ではなく言葉で世界を捉えようと少女は決意し、運命に向かうように歩き始める。

原田マハは『楽園のカンヴァス』『暗幕のゲルニカ』『リーチ先生』など、アートを題材にした作品で数々の文学賞を受賞してきた。美術史を学び、ニューヨーク近代美術館での経験も持つ著者ならではの視点が、作品に深みと説得力を与えている。

本作でも、すてらという若い書き手の成長物語を通し、芸術が人の魂をどう揺らし、救い、導くのか――その核心に迫る一冊となりそうだ。

刊行に先駆けて書影が公開された。カバー写真にフランスの国民的写真家であるロベール・ドアノーの作品「シャン・ド・マルスの騎馬隊、1969年6月」が用いられている。

カバーデザインからは、人生の陰影を抱えながらも、確かな希望へ向けて伸びていくすてらの歩みが予感される。

原田自身が“かつてない熱量”と語るだけあり、創作とは何か、生きるとは何かを問い直す一冊となるのではないだろうか。四六判ハードカバー、定価2,310円(税込)。

■出典 
株式会社新潮社のプレスリリース

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