読書記録/銀河鉄道の夜

秘密のつぶやき

作者:宮沢賢治

読了:2025/2/23

初めての読書記録は不朽の名作、銀河鉄道の夜となりました。どうしてここまで読んでこなかったのか(あるいはどうして読んだ記憶がないのか)わからない程の名著です。

個人的な読書記録なので個人的なことも話していきますが、私の読書傾向として、最近は「名作をきちんと読む」とった流れが来ています。なので今回の選書もその潮流を汲んで「どうして今まで読んでこなかったセレクション」から選ばれた、この1冊。

(読書記録はなるべくフラットな感情で執筆したかったのですが、最終的には昂ってしまい、私の色々な側面を見せてしまう結果になってしまいました。先にお詫び申し上げます。)

超簡単なあらすじ

ご存知の方も多いかと思いますし、ストーリーはかなりシンプルな構成なので、あらすじは大まかに。

主人公のジョバンニは、内気で物静かな少年。家は裕福ではなく、病気の母を看病しながら、父は遠くで働いているため、ほとんど家にいない。そんな孤独な日々の中、クラスではからかわれることも多いが、幼なじみのカムパネルラとは心を通わせている。

ある夜、町で「ケンタウル祭」というお祭りが行われる中、ジョバンニはひとり丘に登り、満天の星空を眺めていた。すると、気がつけばカムパネルラとともに、銀河を走る不思議な列車に乗り込んでいた――。

そんな導入から始まり「ジョバンニは”三次空間”からきた」ことや「南十字(サウザンクロス)へ向かっている」ことなどが次第に明らかになっていきます。列車の乗客も増えたり、減ったりしながら、小さな列車は大きな謎を含みながら夜空を駆けていく、といったストーリー。

パシフィック(太平洋)の謎

物語中盤で列車に乗り込んでくる3人の子供は海難事故に見舞われ、気がつくと列車に乗り込んでいたといいます。裸足で震えていた少年が「一昨年になくなったお母さんの元へ行ける」と笑顔を取り戻す、といった場面が印象的でした。

銀河鉄道が執筆されたのは、1924年頃。その当時発生した海難事故といえば、1912年に北大西洋で起きたタイタニック号沈没事件が記憶に新しいでしょう。

ですが、子供達の様子を見たジョバンニは、海難事故が起きた海はパシフィック(太平洋)ではなかっただろうか、と思案します。実際にタイタニック事故が起きたのは北大西洋なので、この事件と本作との関連性はないかもしれません。

この辺りはきちんと考察している学者さんがいるだろうと思うので、いつかの私が調べてくれることを望みます。

カムパネルラーーーーーッ!!!!

こればっかりは、こう叫ぶしかありません。

わたし
わたし

あーーーーーーっ、カムパネルラーーーーーッ!!!!

ずっと不穏でしたので、そうなるのかなとは思っていました。ジョバンニに確証のない孤独感がずっと付き纏っていたのも、そういうことなのだろうと分かっていましたが、やはりそうなると辛い。

(初めての読書記録なので、どこまで核心に触れて良いものかと思案したまま筆を走らせているので、何のことかわからない方もいるかもしれません)

美しい野原が見えるカムパネルラ、見えないジョバンニ。

そもそも、三次空間からの切符を持っているジョバンニ、持っていないカムパネルラ。

思い返せば、こうなることは自明だったのですが、↓のセリフあたりからこれから起こってしまうことを予感し、鳥肌が止まりませんでした。

「カムパネルラ、また僕たち二人きりになったねえ、どこまでもどこまでも一緒に行こう。僕はもうあのさそりのようにほんとうにみんなの
さいわい
のためならば僕のからだなんか百ぺん
いてもかまわない。」

そして極め付けに

「カムパネルラ、僕たち一緒に行こうねえ。」ジョバンニが
う云いながらふりかえって見ましたらそのいままでカムパネルラの
すわ
っていた席にもうカムパネルラの形は見えずただ黒いびろうどばかりひかっていました。

だめです・・・・・・・・。この文章を”読む”前、目がこのテキストを捕捉した瞬間に、幼い子供特有の間延びした話し方→視点移動→空席という一連の映像が脳内に流れ込んできて、コンマ0秒で目頭が熱くなりました。

ジョバンニも、おそらくカムパネルラの儚さに気づいた上で、何度も何度も「一緒に行こう」と伝える。この健気さが辛い!胸が苦しい!美しい!宮沢賢治、すげーーーーーーっ!!!!!!

まとめ

全然感想を書ききれていないのですが、このまま感想を書き続けると銀河鉄道の夜の文字数を超えてしまいそうなので、早々にまとめに入りたいと思います。

やはり、読む前から何となく知っていたのですが、情景描写が美しいことがこの小説の醍醐味と言っても良いのではないでしょうか。簡素で、言葉を選ばなければ稚拙とも取られる文章ですが、そのシンプルな言葉を通してここまでの世界観を読者に伝えられるのか、と脱帽しました。

本作は2種類のパターンがあるようで、初期系(第1〜3次稿をまとめたもの)・最終系(学者先生たちが考察・穴埋めしたもの)と分かれているそう。

私は最終系を読んだのですが、それでも数文字空白があったり、場面が一気に飛んだりと、なかなか経験したことのない読書体験が味わえました。ちなみに、初期系には最終系に登場しないキャラクターが現れたりなどの違いがあるようなので、今度は初期系に挑戦したいと思います。

最後に、私のお気に入りのセリフで読書記録を終了したいと思います。ここまで読んでくれた方がいるのかは定かではないですが、いるのなら、ありがとうございます。また!

「なにがしあわせかわからないです。ほんとうにどんなつらいことでもそれがただしいみちを進む中でのできごとなら
とうげ
の上りも下りもみんなほんとうの幸福に近づく一あしずつですから。」

タイトルとURLをコピーしました